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ミュージカル刀剣乱舞~阿津賀志山異聞~初日最前列:感想/キャラキャスト雑感

ミュージカル刀剣乱舞~阿津賀志山異聞~5/27@アイアシアター

トライアル公演を経ての本公演、CDがめっちゃ売れて音楽番組に出たり制作発表が雅叙園で朝のニュースに出たり、そもそも推し俳優の役は国宝だし、とにかく大きな夢とともにあるミュージカル刀剣乱舞の本公演、初日、最前列で観てきました。

トライアル公演とストーリーそのものも流れもほぼ同じ、台詞だってほとんど変わってない。なのに、こんなに面白かったっけ?!?!ってびっくりするくらい面白かった。演技は確実に良くなった、少し色を変えるだけでこんなにキャラの見え方が変わるんだ!って。新曲も、バラードを気持ちよく歌えるキャスト陣だからそれぞれの声がじっくり聴けて良い。それにしたって単に最前マジックなのかもしれないけど、こんな短い三時間初めてかもってくらい楽しかった!
最前列だと薙刀なんか本当にこっちにぶつかってきそうに感じる。石切丸本体の長さも体感する。何よりあの頭身の人間をあの距離で見ると本当に異様さが分かる。三日月宗近なんて最前から見てもあまりにも顔が小さくて近くから見てるはずなのに遠く感じるくらい現実感がない。なのに動けば足音が響いてくる、現実にいる…。この距離感を失う感じ、美そのものの性質だって思った。今剣もああして見上げると本当に子どもの体格に見える。刀ミュキャストは6人みんな一般人からかけ離れた頭の小さいスタイルの良い成人男性たちなのにそれぞれ違いがあって、人間の身体に発現される美はひとつではない。それぞれのキャストの目くばせひとつ動きひとつで美しい絵がまたひとつ生まれるみたいな、誰を見ていてもめくるめく美につぐ美。

三日月宗近/黒羽麻璃央:①本丸でのマイペースな顔、②戦闘時の神の顔、③人間の顔、の3つ。①首をコテンとかしげてにっこり笑うのが可愛い。 ②戦闘時の神の顔は、真っすぐに戦いに向かう怜悧と敵を斬りつけながらにやりと笑う高踏。他の刀剣男士が敵をバンバン殺してるのをけらけら笑いながら見てたのが刀的にはいいんだろうけど人間的にはとんでもないなと。
他のキャラが真面目に話してるときの三日月さんがぜんぜん話聞いてないように見える神の表情をしていて、あー神だなあと思っていたら、M9(「おぼえている」)の途中から人間の表情になるんですよ。(③)黒羽さん自身は心の揺らぎがそのまま表れるような情感的・直情的な演技がすごく上手いと思うんですが、そういう部分がしっかり三日月宗近の上に乗っていて。三日月宗近である以上表情や所作が三日月宗近のものでないといけないことが演技のうえで大きな制限になるのではと思うのですが、そういう制限を感じさせないただ三日月宗近としてそこにあって三日月宗近がそう行動したという感じ。それが人間の顔として表れた、人間の顔もそれはそれは綺麗で。眉を下げた表情が本当に美しい。美しい人間の表情をしているのに瞳は異形の色をしているのがまたぞっとする。
それから新たに追加された小狐丸・石切丸の曲中で出てくる三日月さんが神事のような舞をしていて。神がする神楽ってもう芸能の始原が揺らぐ!前の戦いで三日月宗近神だな~と思った直後に(戦いは血・穢れ)、芸能なんて人間の営みの極みみたいなこと(芸能は祈りとハレ)をするから最高だった。

・小狐丸/北園涼:メイクが変わったのか、トライアルに比べて格段に顔が綺麗になったな~と。人間として極上に美しい顔と肉体を持っていながら妙に人間体に慣れていなさそうに見えるのはわたしだけでしょうか。それでいて戦闘となると生き生きと美しく躍動する。ずっとニコニコしているキャラではないだけに無表情から笑顔への動き方が可愛い。みんなが悩んだり苦しんだりしてるなかで精神面が安定して見える、内番も戦闘も粛々としている。けどM5「うたかたの子守唄」の小狐丸パートの歌詞は暗い重たいイメージで(まだちゃんと聞けてないんですけど)、そういう暗さを抱えた上でやさしさを見せているのかなと。それに気づいている刀剣男士はいるのかな。
そのM5の歌声は極上でした。低音がすごくかっこよく綺麗に出ていて、これくらいの低さの音域が本領発揮なのかな。
あとこれは三日月さんにも言えるんですが、M10「キミの詩」、ミュージカルのあの流れで聞くと元主を想って歌っているようにしか聞こえなくて、小狐丸は作中で元主の想いだったり影響だったりを出すことのなかったのにそういう想いを歌うのが、優しくも感じたし業が深いとも感じた。

・石切丸/崎山つばさ:トライアルと比べて一番印象が変わったのが石切丸。トライアルではほぼずっと神の顔をしていたけど、今回の加州とのシーン(M8「矛盾という名の蕾」)は人間というかむしろ子どもの顔に見えた。あの完璧な形の大きな瞳が揺らいで雄弁に語ってくる。石切丸のそういう変化もあって、あのシーンは数倍優しく感じた。トライアルだと加州ばかりが悩んでいて石切丸はもうそういう悩みをとっくに通過してしまっているように見えたから。見た目や目に見える性格は加州が子どもで石切丸が大人(しかも半分御神屋にいるような)、それが同じように苦しんでいるのがいいな、と思ったし、そのまえの本丸で言い合いになるところも対等な喧嘩に見えて良かった。神でいる、ということは人間のそばにいるということ。神は人間が作ったものだから、人間が祈るから神はいる。
機動ネタのシーンは相変わらず可愛い。厳しい面、苦しんでる面がこの作品では多く出ているからこそ、そういう可愛らしさが際立つ。祈るものであり祈られるものでもあった石切丸が今そういう穏やかさで生きていることが救い。

・岩融/佐伯大地:見ていて気持ちのいいキャラクター。豪快で素直、品があり聡くもあり、人間として欠点のない性格。そんな彼が元主を殺してでも刀剣男士としての使命を全うすることを迷わない、底知れなさ。彼がはっきりと刀剣男士の使命を叫んでくれるからこの作品に芯が通る。けど脆いところだって見せる彼がそこだけは迷わないのは。ラスト近いシーンで今剣を抑えるとき、薙刀を使って拘束していたのが、途中で両腕で抱きしめて抱きとめて抑えていたのが優しくて。
真顔だと男らしく凛としたお顔なのが笑うと人懐っこく元気で可愛い。
そして三次元化されるとよりキャラデザインが最高だなって。大柄で服もだぼっとしてて、そこから鍛えられた二の腕と細い足首が出てるのが良い。

・今剣/大平峻也:心がそのまま表に出る、はっきりと人間らしく子どもらしく。だからこそたまに表れる神の顔が異形なほど可憐で美しい。ソロ曲は特に歌声が気持ちよさそうでtommorowみたいだった。ぱあっと眩しく笑うからこそ悲しみがより悲しい。弁慶や義経との優しい時間のやりとりが増えた分背負わなければならない悲しみも増えて、だからこそかラストシーンの演技には凄みがあった。ただかわいそうなだけじゃなくなったのが良かった。

・加州清光/佐藤流司:彼は審神者との会話シーンが冒頭とラストに二度あるんですが、ここの演技を変えてきてて。冒頭では可愛く子どもっぽく、見るものすべてを笑顔にさせる可愛らしさなんですが。(審神者の話を聞き返すときに高速でぱちぱちぱちっと瞬きしていて赤い飴玉みたいな目玉が落っこちるかと思った。)変えてきたのがラストのほうで、冒頭ほどはしゃがない、きりっとかっこよく大人っぽく。「ちゃーんと見ててよね」の台詞もかっこいい感じにしてて物語で成長したってはっきりわかる。子どもらしさが際立った石切丸との対比もあって本当に良かった。でも審神者の説明をよく分かってなさそうに首かしげて聞いていたり、「顔つきが変わりましたね」のとき頬に手を当ててとろけるような笑みを見せたりと子どもで可愛い部分も根幹にあって。
もうひとつ、今剣が一人で義経公に会いに行ったあとの岩融との場面。勝手に出陣しようとする岩融に対して刀も半分抜いてガッツリ臨戦体勢、それを岩融が落ち着くやいなや「…いや?」の一言で切り替えて刀剣男士相談→俺たちは仲間なんだし~なんて言うの、こいつついさっきまで刀抜こうとしてたのに!って人間としては恐いというか、そういう容赦なさ、非情さ。「いや?」の言い方がやけに明るいのがまた。ただマイペース三条に振り回されてるだけじゃなくてそういう刀としての強かさがはっきり見えたのが良かった。

義経・頼朝・弁慶・泰衡:義経弁慶泰衡の三者は、人格が歴史修正主義者側に乗っ取られているときといないときの差がはっきり分かる演技に変わってました。泰衡は登場からほぼずっと乗っ取られている。逆に弁慶はほぼずっと理性を保とうとしているし、理性のあるままおかしくなる我が君を見ている。義経は人間でいる時間が長くはあるけれど揺らいでいる。トライアル初見では義経側に起こったことがいまいち把握しきれなかったので分かりやすくなったかなと。
義経・弁慶は子どもっぽい描写も足されて、より人間味が増した。兄弟の和解のシーンは目の前で成人男性ふたりがああいうやり取りをしているの本当にぞくぞくした。そして義経が乗っ取られてしまうのが本当に悲しい。赤い刀で腹を切るシーンは本当にぞっとする。
もしもここで義経歴史修正主義者に勝っていたら、それでも刀剣男士は義経を殺したんだろう。この物語はハッピーエンドっぽく終わってるけど、刀剣男士の戦いはこれからずっと続いていくだろうし、似たような出来事はまた起こるだろうし、刀剣男士の業……。

・2部ライブパート雑感
オープニング:ダンサーさん登場。黒い軍服っぽい衣裳に目隠しっぽい四角いサングラス。人文字で「刀」って作ってて客席すごいざわついたけど好き。席が近いとダンサーさんそれぞれの表情まで見えて新鮮。
M1「mistake」:神々しい刀剣男士がこういう俗っぽい曲を歌うの興奮する。
MC:ライブも二度目ということでそれを踏まえた内容。特に三日月さんは黒羽さん本人っぽい自由さ。日替わりで今回は加州が「時空が歪むくらいかっこいい台詞」を言わされる。時空が歪むぐらい、って言葉選びのギリギリ感。
M2「描いていた未来へ」:若いジャニーズっぽい元気いっぱい可愛らしい曲。振付がアイドルアイドルしてて可愛い。サビの手を首に当ててきゅっと振り向く動きがツボ。今剣、加州の可愛い組は本領発揮、かっこいい組がああいう振付を踊るのもまたたまらない。三日月さんからムーンプリズムパワー的なパワーを感じる。確かこの曲で三日月、小狐丸、加州でそれぞれの肩に手を置くところがあって最強感があって良かった。
M3「えおえおあ」:客も振付で参加する曲。今剣さんが一生懸命振りを教えてくださいました。覚えの悪い観客で申し訳ない。そもそもペンラとうちわで手ふさがってる観客が多くてまず右手で~と言われたときのざわつきがすごかったしそれでもちゃんと振付教えてくれる今剣さんは優しかった。レクチャータイムが長かったのもあるけどテニミュのシャカブンよりは易しい振りだったと思う。とにかく明るい可愛い曲。
M4「Endless Night」:ただただ神々しい三日月宗近さんのソロバラード曲。クレッシェンドをかけていく歌声が圧巻。客席のペンライトは青一色に染まって、夜空色の光に照らされる御姿の美しさ。神など空よりめでつべきかたちというか神であり空でありというかもう。曲途中から階段上からスモークがたかれて幻想的な空間でした。
M5「解けない魔法」:トライアルから引き続いての加州ソロ曲。
M6「大袈裟」:客降り曲。席近くに石切丸さんがいらっしゃり、見つけたんだ~と歌詞のところで照準を合わされたっぷり御見つめをいただきました。本当に完璧なアーモンド型のめちゃくちゃ大きい異形の色に光る瞳めっちゃ美しかった。生きる圧倒的美に見つめられると自分はゴリラなんじゃないかって思う。こう、こっちも目を見開くんですけど自分が見開いた目の限界の倍くらいサイズあるよ石切丸さんの目が。息が止まりました。客降り前、ひたすら三条にちゃらいノリで絡まれる加州が可愛いしちゃらいノリの三条も可愛かった。
M7「漢道」:みんな大好き漢道。和太鼓も脱ぎ衣装も楽曲も最高に楽しい。インナー衣装も例の赤い紐の結び方も振付も作り手の強いフェチズムを感じる。岩融なんてパーカーのジッパーの開けている深さより上に紐を結ぶの最高すぎる。汗の光る背中がきれい。
エンディング:カーテンコール2回、トライアルより曲数が減ったのでアンコール曲があるのかと思ったけどなかった。あのセットにキャストのみなさん並ぶと雛人形みたいで可愛い。礼の仕方がそれぞれ相変わらず美しく


最後に、ミュージカル刀剣乱舞のいいところは作品シリーズのファンでいさせてくれるところ。公演がない期間も会員限定サイトで刀ミュに会わせてくれるし、何より2.5は明日のチケットもままならない作品が多いから、そういう会員だったりCDを買ったりすることで作品シリーズファンがチケットを確実に取れるようになること。チケットが取れなかったらなにも始まらないから。まだチケットはあるのでこれからの観劇も楽しみです。