0121リーディング「銀河鉄道の夜」/0122、0127「コミックジャック」:感想

リーディング「銀河鉄道の夜」1/21夜@DDD AOYAMA CROSS THEATER
(演出:倉本朋幸 制作:アーティストジャパン)

久しぶりのアーティストジャパン、今回はほぼ満席でした!日程的に厳しくて今回は見送ろうかとも思ってたんですが、銀河鉄道の夜が面白くないはずないだろうと思って結局当日券で入りました。行ってよかったです。
ジョバンニ山本一慶さん、カムパネルラ矢田悠祐さんの回でした。二人して美貌には間違いないけど陰の美形と星の美形みたいな対比というか、ゆるい帽子とボサボサ黒髪の野暮ったい雰囲気の奥に完璧な形の目を覗かせる山本さんと、明るい金髪に色素の薄い瞳と外国人みたいな出で立ちでの矢田さん。それぞれの雰囲気がそれぞれの役に合ってて、これは逆の回も観に行きたかった。
舞台セットの、舞台真ん中を四角く囲んであるレールが良かったです。クラシックなプラレールみたいな、窓のなかがチカっと光る電車をジージー走らせられるようなやつ。序盤は誰もそのレールのなかに入らないから、真ん中がぽっかり空いてて何か間が抜けたような感じがしたけど、ジョバンニが丘へ行くシーンでレールの中に入った瞬間にカチッとはまったように絵になって気持ちよかった!そういうふうに舞台上に中と外を作るのすごい上手いし(その中と外は銀河鉄道の中か外かだけじゃなくて、神聖な大事な場所、そうでない場所というふうに見える)、それがレールだっていうのがまた良いなと。レールの内側に人が入る、椅子を置く、椅子を出す、人が出ていく、それぞれの意味が感覚的に分かる感じがすごく気持ちよかった。なによりレールのなかにいる二人はとにかく絵になる。舞台全体も役者も美しくて読む言葉も物語も美しくて、ってところにガンガンアドリブ日替わりネタ入れてくるバランス感覚もすごい。
いままで観た朗読劇のなかで一番朗読劇っぽくない朗読劇だったなと。動くし客席降りもするし日替わりアドリブも多くて。(観劇日は山本さんの弱虫ペダル出演の情報解禁日だったのでそのネタが多めでした)でもそういう普通の芝居に近い朗読劇って手に持った台本が邪魔に見えることも多いんだけど、この作品はそんなこともなく台本を持っていることも自然だった。持ち物(小道具)として合ってたからか、原作の文体と合ってたからか、地の文とのスイッチが決まってたからかな。
そして今回大忙しの河合龍之介さんはかっこいい紳士であり温かい父親であり客席を笑かす幼女であり…。子ども役二人が普通に成人男性の身体付きをした成人男性でしたがその二人を突き放す頭身の高さが大人らしくて良かった。
そしてカーテンコール。相変わらずの緩さでほぼアフタートークみたいになってましたが、話すことを決めてるわけでもなくただファミレスの女子高生みたいな終わらない会話がいつまでも続く感じでほほえましかったです。矢田さんはバイクで行くぜな印象が強いけど普通に可愛い人ですね。

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「コミックジャック」1/22夜、27夜@紀伊国屋サザンシアター
(原案:奥村直義 脚色演出:きだつよし 音楽:大石憲一郎)

新人漫画家が突然自分の描いた漫画の世界へ迷いこむ、だけど実際のその世界は漫画家が描いたものとは少し違っていて…という筋立て。2.5次元を量産してるネルケがこういうのを作るっていうのも面白いですよね。この作品はもともと2003年(テニミュ元年!)にネルケ制作で上演されたものらしいですが、オリジナルの作品がこうして何度もキャストを変え再演するのもネルケまわりだと珍しいですよね。その価値のある完成度の高い作品でした。
漫画家・天辺麻人役の木戸さんはほぼ出ずっぱりのフルパワー。ファンタジー界に生きる自由すぎるキャラクターたちのなかで基本は唯一のこちらの世界の人で、非力な突っ込み役……だけど漫画家だけあってかめちゃくちゃにパワフルでもある。こんなにがっつり出演も久しぶりな気がして満足しました。木戸さんが編集者に毒されていって、苦し気な表情から無表情になっていく表情の変化が美しかった。
ヒーロー・ジン役の伊崎龍次郎さん。表情・ポーズと台詞いちいちビシッとかっこよく決まるのが気持ちいい。大きな目をキラキラに輝かせて口角をキュッと上げた顔がこれ以上ないくらい絵になる。かっこいい決め顔のだけじゃなくて情けない表情だったりぶりっ子だったりの顔もめちゃくちゃ可愛くて、表情の変化から目を逸らせない。この表情の多彩さというか、動いてこそ本領発揮という感じがまた木戸さんと似てるんですよね。
作中でジンは麻人だと、ジンの悩みは麻人の悩みだと指摘されるシーンがあるんですが、ラスト麻人自身が戦うシーンでの木戸さんの表情の輝きはまさに戦うジンの輝きで、ジンのかっこよさも麻人のかっこよさだって思えるんです。そういう部分が本当に似てる二人がジンと麻人を演じる奇跡。
カスミ役の大久保聡美さん、冒頭のあの高いトーンの可愛らしい声で一気にアニメっぽい世界に連れていかれました。あの現実味のない手足の細さとか真ん丸い目とかがいかにも男性漫画家が描きましたって感じのビジュアル。それに対するもう一人のヒロイン、マナ役の藤木かおるさん。おへそ出しのセクシー衣装で男まさりな戦闘少女、カスミと食いあう部分がなくて良かった。勇ましさと乙女ちっくのふり幅が可愛かったー。
悪役のスランダを演じる古川裕太さん。夜空カラーのスチームパンク風衣装にキラキラのメイクにパールのつけまでとにかくビジュアルが良すぎた。これを着こなせる俳優がいるんだから衣装作る人も楽しいだろうなあ。顔にかかる紫の髪を鬱陶しげに払う仕草が良い。高慢でヒステリックで甘ったれで、手ごわい敵だけど滑稽でもありととにかくバランス感覚のものすごい役でした。
とにかくガンガン見せ場があって笑いがあってパワフルで、でも説得力があって単純じゃない、二回観ると二回目にも新たな発見がまたできるような作品。良い舞台でした。