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2015年黒羽麻璃央さん出演作品感想まとめ

2015年に観劇した黒羽麻璃央さん出演作品(「WILD HALF」「うちのタマ知りませんか?」「魔導師は平穏を望む」「恐るべき子どもたち」「魅惑のチェーホフ」「金色のコルダ」「ミュージカル刀剣乱舞」)の感想メモ


舞台「WILD HALF~奇跡の確率~」1/16夜@六行会ホール
(原作:浅美裕子 脚本演出:鈴木茉美 制作:はっぴいはっぴいどりーみんぐ)
黒羽さん演じるウルフは子どもそのものの純粋無垢と強引さと、黒羽さんにしっくりくるキャラクターでした。馬鹿っぽい単純さとひたむきで切ない部分の二面性がよく出ていた。初アクションはファン的に見どころでしたね。黒羽さんの少し独特な身体の動きは好きです。上手く説明できないんですが、人より遠心力のかかったような手足の振り方、独特の重力のかかった動きで、痩せてるわりに打撃に重みがありますよね。
原作は一応予習していきましたが、私の問題で 所謂イイ話が好きでないためか琴線に触れる漫画ではなかったです。暗転が多いし似たシーンの繰り返しも多くて飽きる。必要度の低そうなキャラクターが大量に出てきてそのぶん人間性や関係性が薄く見える。特に漫画にありがちな暴力的な美少年美少女キャラは舞台だと読み飛ばせないからきつい。うーんこの舞台は何が見どころのつもりだったんだろう…。
 

TEAM ODAC「MOON & DAY~うちのタマ知りませんか?~」5/2夜、5/6昼
(原案:うちのタマ知りませんか? 脚本演出:笠原哲平 制作:劇団TEAM ODAC)
昔ながらの街並みを潰し再開発をしようと目論む大企業と町民との対立、と昭和臭のものすごい作品。ビンを持って隣の家にお醤油をもらいに行くようなご近所付き合いに魅力やノスタルジーを感じる世代じゃないせいか退屈な舞台でした。綺麗事の台詞の応酬にどんな暴力も暴言も許される女性キャラ、日本語の通じないキャラの数々。まあありがちなんですけど嫌いです。発達障害の青年が素直な子どもの象徴的な扱いなのが怖かった。私の身近にそういう人がいたこともあって余計に。
しかしこの脚本家さんは顔の良い俳優は多かれ少なかれ残念なポイントを入れないといけないというポリシーでもあるのか。黒羽さんの下ネタ連発にしても杉江さんのビジュアルにしても米原さんの吃音キャラにしても、いいんだけどわざわざそこ攻める意味あるのかな。黒羽さんの赤いヘアゴムのちょんまげ前髪と千秋楽の碕理人さんの掠れた声が色っぽかったことが思い出。黒羽さんの切なく叫ぶような演技は好きです。
初日の物販列の大混乱が印象深いです。えげつない種類数の物販も作品が面白くてきちんと列を捌けるなら気持ちよく買うんですが。
 

朗読劇「魔導師は平穏を望む」5/23夜、24夜@さいたま芸術劇場
(原作:広瀬煉 脚本演出:大塩哲史 制作:Proiject  Re:Lire)
この制作でライトノベルの朗読劇という時点で地雷臭を嗅ぎとるべきだったんですかね。出演する作品にはプライドがありそうな大河さんがいるあたり期待してしまいましたが、人気声優さんと共演できるって機会もそうそうないんでしょうね。
さいたま芸術劇場の広いステージはスクリーンでぶった切られて奥行3メートルほどにされていて、舞台セットも小道具もなしでスクリーンに背景絵を映すだけ。作中突然素に戻っての青汁飲ませ大会。朗読劇自体は話の序章で終わらせて公演時間の半分はトークショー(本編完結させるよりこっちのほうが満足度高そうなのが本末転倒)。俳優さんたちは俳優さんなりにそれぞれで頑張っていたとは思いますが、それでもこの作品にチケット代を払わせていることについてどう思う?と聞きたくなる。趣味が合う合わない以前の制作のやる気のなさ。ドS王子な役の黒羽さんは楽しそうではありました。衣装は良かったです。

「恐るべき子どもたち」6/26夜、27夜、28昼@カメリアホール
(原作:コクトー 脚本演出:菅原道則 制作:アーティストジャパン)
アヘン中毒のコクトーが一か月足らずで書き上げたという小説が原作。こういうノリの古典文学はかなり好きです。好きな俳優さんがこういうのに出演できる機会は多くはないので発表されたときはかなり嬉しかったです。観劇しての感想も期待に違わず。美しい俳優が美しい言葉を話すのはそれだけでひとつのカタルシスですね。狂気的で厳かな空気のまま、ひとつひとつの台詞が重い意味を持って、破滅へと積み重なる。
理性的で冷静で大人なイメージの強い山本一慶さんの子どもの演技は圧巻でした。生意気な口ぶりもふいに泣き出す幼さも完全にモノにしていた。何より狂気の部分は彼の本領ですね。虚空を見つめる瞳の昏さ、恍惚とした表情の恐ろしさ、激昂したときの口調の上擦る感じ、無防備な色気。俳優が現実世界に戻ってこれるのかと不安になるくらい。夢遊病のシーンのコンテンポラリーダンスっぽいあれ、siaのchandelierのpvっぽい、けどそれよりもダンスとして確立されていない感じ、ダンスと仕草の中間のような不安定感といとけなさ。
ジェラール役の黒羽麻璃央さん、本人が持つ純粋さひさむきさと、子どもらしさ大人らしさの両方を持つビジュアルとにマッチした役だったと思います。二幕からの大人の象徴のようなフォーマルな装いは、そのアンバランスなまでに細い首と小さい頭をより際立たせているみたいでした。弱弱しい口調に臆病な態度が新鮮で可愛らしかった。心臓いっぱいに臆病と恋心と諦観と社会性、狂気を詰め込んでいるような、ポールとはまた別の危うさがある感じ。序盤のポールを車に乗せて並んで座ってのシーンの独白があまりに美しくてどきどきした。最後のシーンに彼だけは舞台上にいないんですが、カーテンコールで強ばった顔で出てきた彼は何を思ってラストシーンを見ていたんだろう。黒羽さんは役の気持ちに自分の気持ちを持って行く(自分も本当に役と同じ気持ちになる)方法で演技をしているように見えるので、カーテンコールでのこの表情はすごく印象的でした。
エリザベート役山本沙也加さん。最初から最後まで芝居がかったお姉さん口調を崩さず、変わらない一本調子がヒステリックでもあり天使のように優しくもある。声の伸びが気持ちいい。お姉さんぶった振る舞いをするけど誰よりも小柄で容赦なく女である感じというか上手く言えません。
アガート役の大久保聡美さん、セーラームーン月野うさぎ役で見たことがありましたが、あのドジっ子とは大きくイメージの違う役でした。癖のない清廉な顔立ちが美少女であり美少年でもあり。そして線の細いからか老いた母親役でも説得力があるという。声の甘さが沙也加さんと対称的で良い。
 

旅するリーディングシリーズ 劇場で海外文学vol.1「魅惑のチェーホフ」7/10夜、12夜@DDD AOYAMA CROSS THEATER
(原作:チェーホフ・アントン 構成演出:石丸さちこ 制作:アーティストジャパン)
こんなに満足感のある朗読劇はひさしぶりでした!千秋楽のカーテンコールで岸本卓也さんが「文字に迫られてる感じ」と言っていましたが、まさにそんな感じ。特別多読家でもない俳優たちが重たい文章をきちんと演技として読まなきゃいけない、本当は朗読劇ってかなりの難しいんですよね。息を切らしかけて頬を紅潮させながら、情動に突き動かされるように文字を読む、緊張感のあるいい時間でした。小気味良いターン、可愛らしい小道具、ヴァイオリン一本の音色などなどシンプルな演出が緊張感のある演技とマッチして気持ちよく決まる。
私がいままでに見たベストオブ朗読劇は去年銀河劇場で見た「春のめざめ」で、これは朗読劇という形式を見事に演出として起用させていたのが素晴らしいと思ったのですが、それに対してチェーホフは生身の俳優とテキストとの戦い(あるいは乗っ取られ)という印象です。
黒羽さんが台本を膝の上に置いて帳面がこちらに向いたときがあったんですが、自分の読む部分に青い蛍光マーカーが塗ってあったのが印象的です。俳優も勉強だ。さて、いまのところアーティストジャパン制作の舞台は観たもの全部面白い、すごい。
 

音楽劇「金色のコルダblue♪Sky」9/4夜、13夜@全労済ホール スペースゼロ
原作:アニメ金色のコルダblue♪sky 脚本演出:吉谷光一郎 制作:ポリゴンマジック)
ドストレートな青春部活もの。テニミュに通じる熱さと爽やかさがあって評判も上々でした。オープニング曲エンディング曲が耳に残る良い曲でした。どのキャラもここで見せるアイドル風の表情がすごくて乙女ゲームの住人はすごい。座組も仲が良くて、幕が下りても青春している感じがとにかく楽しそうで眩しかった。
黒羽さんが演じた如月律くんはいままでにないクールな役。凛とした無表情が本当に美しかった。テニミュを卒業する前後から黒羽さん本人が菊丸の明るいイメージに捕らわれたくないということを言っていましたが、はっきりそれが叶ったなと。あの顔立ちや声はクールにも適性があると証明できた。そのクールさから一転した激情も本領発揮といった感じで客席をびりびり震わせてました。小林涼さんの演技は初めて見ましたが、あの長身痩躯と癖のない綺麗な顔立ちは今後の2.5次元で活躍しそうだと思っていたので(というかハイキューで月島役になるんじゃないかと思っていた、違ったけど)今回観られて良かったです。ぱあっと場を明るく柔らかくしてくれる愛されキャラでした。
ただストーリーには終始イライラさせられました。主人公は本当にあんな子でいいの?文句を言う前に相手の言葉を聞くとか解決策を考えるとかできないのか。主人公がうるさいせいで必要ない諍いが延々繰り返されて観てて苦痛でした。原作通りヒロインのかなでちゃんが主人公のほうが良かったような。それと、音楽がなかなかメインで聞けなかったこと。本番の演奏シーン、始まったと思ったらまた回想シーンになって演奏を聞かせてくれないんですよね。演奏で負けたんじゃなくて過去の出来事で負けたの?特別オーケストラが好きってわけではないにしても楽しみにしてたんですが。あとはパンフレットが容赦なくネタバレしていて開演前に見たことを後悔しました。私はどう展開するか分からない状態で舞台を見るほうが好きなので一言いってくれたらなあ。


ミュージカル「刀剣乱舞」11/5夜、7夜@アイアシアター/8夜(ライブビューイング)
(原作:刀剣乱舞online 脚本:茅野イサム 演出:御笠ノ忠次 振付:本山新之助 制作:ネルケプランニング
今年の黒羽さんの出演作品のなかで一番の大役。好きな俳優さんに対して国宝指定して国で保護しないと…というふうに思ったことのある若手俳優ファンは少なくないとは思いますが本当に国宝になるなんて他ではないですよね。国宝になる推し、楽しかったです。それと、もともと原作ファンだった作品の舞台化の初演を見るのはいま思えば初めてだったんですよね、キャラが目の前に現れる!という感動がなんだかんだ2.5次元の源泉だなあと改めて。
ストーリーは刀剣男士のエモーションといえばそこ!という部分をしっかり突いていました。原作にストーリーがほぼないのでどう転ぶかと思いましたが、ストーリーはなくとも刀剣男士というキャラクター自体、大きな矛盾だったりを抱えた存在なんですよね。オリジナル要素は強いけどこの原作がなければできないところがメインになってる。抉りは少ない気がしたけど原作の良いことろに立ち返ることができ満足です。キャスティングはとにかく骨格と顎のラインがキャラと近いことに拘ってると感じました。身長はキャラと違っているところも多いんですが、体格差や身体付きの違いがはっきり出ている。殺陣の個性付けが良かったです。三日月さんは美しく袖を靡かせて舞うようだけど容赦ない、子狐丸さんは足技多めで野性味がある、石切丸さんは動きがはっきりして一太刀が重い、岩融は長い薙刀を自分の体の一部みたいに気持ちよく振るう、今剣はすばしっこく跳ねる感じ、加州は正統派で無駄のない感じ。相当訓練を積んだんだなあと。
ライブパートも楽しかったですね。新衣装あり客席下りありセクシーありでウチワもペンライトもどうぞ。あれだけやって原作の設定が一応壊れていないのもすごい。一年間ドリライを浴びていない身なのでとにかく楽しみました。ライブって舞台を観るのとは全く別の部分が解放されますね。許せる限りすべての2.5次元でやってほしいくらい。
黒羽さんの三日月宗近について。あの頭の小ささ顎の細さ首の細さ、肩の尖り腰の括れと、下半身のしなやかさ、ああ改めて嘘みたいなプロポーションをしているなあと。殺陣の完成度もすごかったです。ワイルドハーフの感想で黒羽さんの動きは少し独特だという話をしましたが、その癖みたいなものはなくなって軽やかでした。動きの無駄のなさと容赦なさ。袖が靡く美しさ、そして彼の利き手と逆の右手で刀を振るっているのに感動しました。そもそも三日月さんに利き手の概念があるのか微妙なところなのに、そこまで立ち絵に倣う拘り具合。
ネルケ制作の舞台は全部が全部面白いってわけでもないんですけど、野心があってこれがやりたかったんだなって言うのは伝わってくるから嫌いじゃないです。刀剣乱舞で2.5次元デビューした人はかなり多かった気がします。CDデビューにしてもお茶の間進出を目指してるのか?って勢いの売り方で、実際売れたら面白いなと思います。まあ買うのは買いたい人だけなんだからどんな売り方も試してみるのはいいんじゃないかな。あとライブパートで出てくる全英語歌詞の曲は海外のお客さん向けかなってちょっと思った。ネイティブの人が聞き取れる発音かは置いといて。
 
 
とにかく今年も楽しかったです。作劇そのものに満足できないものもありましたが、きっと面白いだろうと踏んでチケットを買って、客席でここにどんな物語が横たわっているんだろうと期待している時間は少なくとも楽しいわけですし。来年も楽しいといいな。